デジタルツインで「ものづくり」はどう変わる?― BASFとApplied Materialsの特許情報から見える、異なる方向性
- 8 分前
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製造業で「デジタルツイン」への関心が高まっています。
デジタルツインは、現実の設備や製品、製造プロセスをデジタル空間に再現し、実際のデータと結び付ける技術です。
では、企業はデジタルツインを使って、
「ものづくり」の何を変えようとしているのでしょうか。
特許情報を見ていくと、企業によって、
「何をデジタルツインにするのか」、
「デジタルツインを使って何を実現しようとしているのか」
が大きく異なることが見えてきます。
このたび、ネオテクノロジーは、
ものづくりへのデジタルツイン適用に着目し、関連する特許情報を調べました。
その中でも特徴的だったのが、BASFとApplied Materialsです。
BASF:製品ライフサイクルを「つなぐ」デジタルツイン
BASFのデジタルツイン関連特許を見ると、
化学製品・材料を起点として、製品パスポート、データ連携、トレーサビリティ、
環境属性、リサイクル・循環などへ技術が広がっています。
特徴的なのは、デジタルツインを工場内だけで完結させるのではなく、
「製品」を軸として、製造から流通・使用、さらには回収・循環まで、
情報をつないでいこうとしていることです。
《BASFのデジタルツイン:特徴的な特許情報の例》
化学製品に対応する「Chemical Product Passport」を生成し、製品に関するデータと分散識別子を結び付けて管理する技術です。製品そのものとデジタル情報を対応付けることで、製造時だけでなく、その後の製品チェーンでも情報を利用できる仕組みです。 化学製品に「デジタルパスポート」を持たせ、製品と情報をライフサイクルでつなぐ。BASFのデジタルツインを象徴する事例といえそうです。 | ![]() |
「Chemical product passport(化学製品パスポート)」
特表2025-502701/BASF SE
Applied Materials:製造プロセス「予測・制御・最適化」デジタルツイン
一方で、Applied Materialsの特許情報は、
半導体製造装置・チャンバ、仮想計測、プロセスモデル、欠陥予測、装置診断、
レシピ最適化、チャンバマッチングなど、実際の製造プロセスの内部へ深く入り込んでいることが特徴です。
《Applied Materialsのデジタルツイン:特徴的な特許情報の例》
半導体製造の各プロセスチャンバにデジタルツインを対応させ、実チャンバから得られるセンサ・計測データをもとに、装置やプロセスの状態をモデル化します。さらにデジタルツイン側で制御入力を生成し、実際のチャンバへ戻して基板処理を制御する構成です。 デジタルツインを単なる「現実世界のデジタルコピー」にとどめず、予測・診断から製造条件の制御・最適化へつなげようとする、Applied Materialsの方向性が表れています。 |
![]() |
「Substrate manufacturing equipment comprehensive digital twin fleet」
US20250086357A1/Applied Materials
同じデジタルツインでも、「ものづくり」の変え方は違う
今回の特許情報から見えてきたのは、
デジタルツインという同じ技術概念を使いながらも、
企業によってその狙いが大きく異なるということです。
BASF は製品ライフサイクルを「つなぐ」。
Applied Materials は製造プロセスを「予測・制御・最適化する」。
一方は、製品を軸として情報をライフサイクルへ広げていく。
もう一方は、製造プロセスの内部へ入り込み、
現実とデジタルをつなぎながら予測・制御・最適化を高度化していく。
この違いは、それぞれの企業が置かれている事業領域や、「ものづくり」における課題の違いを反映しているとも考えられます。デジタルツインは、一つの決まった使い方をする技術ではありません。
「何をデジタル化するのか」
「現実世界と何をつなぐのか」
「得られた情報を、ものづくりへどう戻すのか」
そこに、それぞれの企業ならではの技術戦略が表れるのではないでしょうか。
特許情報から、企業のデジタルツイン戦略を読み解く
現在、ネオテクノロジーでは、
こうした企業別のデジタルツイン関連特許を整理し、
「BASFのデジタルツイン特許」― 製品ライフサイクルを「つなぐ」デジタルツイン ―
「Applied Materialsのデジタルツイン特許」― 製造プロセス「予測・制御・最適化す」デジタルツイン ―
の2つの特許調査レポートを企画しています。
企業は、デジタルツインによって「ものづくり」の何を変えようとしているのか。
企業はデジタルツインによって、ものづくりの何を変えようとしているのか。
一般的な技術解説だけでは見えにくい企業の具体的な取り組みを、特許情報から読み解いていきます。
デジタルツインを活用したものづくりの高度化に取り組む、研究企画・生産技術・DX・知財ご担当者様に、先行企業の取り組みを知り、自社の技術開発やデジタルツイン活用の方向性を考える情報としてお役立てください。








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