R&D技術者向けに「拒絶理由」を読み解くと?公開クレームは、なぜそのままでは登録されなかったのか? ~逆解析の特許より~
- 10 時間前
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R&D技術者にとって、新しい発明を生み出すことは重要です。
そして、その研究成果を特許として確実に権利化することも、発明を生み出すことと同じくらい重要ではないでしょうか。
しかし、特許出願した発明が、そのままの内容で登録されるとは限りません。
実際の特許審査では、公開時のクレームに対して拒絶理由が通知され、その後、出願人が補正や意見書による主張を行い、クレームを変更した結果、特許として登録されるケースが数多くあります。
それでは、
・なぜ、公開時のクレームはそのままでは登録されなかったのでしょうか?
・審査官は、この発明の何を物足りないと考えたのでしょうか?
・出願人は、何を加え、何を限定することで特許化したのでしょうか?
ここに、R&D技術者が自らの発明の特許化を考える上で重要なヒントが隠されています。
R&D技術者の視点で拒絶理由を読む
R&D技術者にとって、自分の発明を特許化することは重要です。
一方で、拒絶理由通知から補正、意見書、特許査定へと至る「中間処理」の過程は、
知財実務に馴染みのない技術者には分かりにくいものです。
しかし、特許法や審査実務そのものを詳しく理解しなくても、
「審査官は、この発明の何を物足りないと考えたのか」
という視点で拒絶理由を読んでみると、見え方が変わってきます。
自分が研究開発している技術分野で、
「このレベルでは既知と判断される」
「この違いだけでは容易想到と判断される」
「ここまで技術を具体化すると権利化につながる」
という実例を知ることは、
「自分の発明を特許化するために、研究段階から何を意識すればよいか」
を考える大きなヒントになるはずです。
公開クレームと登録クレームを「審査官の評価」でつなぐ
そこで、ネオテクノロジーは、実際の特許審査事例を次の流れで整理してみました。
「公開時の原文クレーム」
↓
「審査官の評価」
↓
「登録時の原文クレーム」
公開時と登録時のクレームをBefore/Afterで比較すると同時に、
その間に「審査官の評価」を置きました。
そうすると、
・どこまでが先行技術に存在して「既知」と判断されたのか。
・どの違いが「容易想到」と判断されたのか。
・逆に、どの技術的特徴には拒絶理由がなかったのか。
を確認することができます。
その上で、登録時のクレームを見ると、
出願人が「審査官の評価を受けて、発明をどのように組み立て直したのか」
が見えてきます。
さらに、公開時と登録時の原文クレームを構成要素ごとに区切り、対応して配置しました。
登録時に追加された箇所については、
(原請求項2より追加)(原請求項4より追加)(補正により追加)
など、その技術的な特徴が、元はどの請求項に記載されていたのかを示しました。
つまり、
「どこが変わったか」だけでなく、
「なぜ変わったか」「何を使って変えたか」を見える化する。
これが、このクレーム対比のポイントです。
実際の事例で見てみると
「実例に学ぶR&D技術者のための特許化事例集 逆解析の特許」よりご紹介します。
ここでは逆解析を取り上げました。
逆解析とは、「目的とする値(結果)」を先に決めて、
それを達成するために「必要なパラメータや条件(原因)」を逆算して設定する、
というアプローチです。「マテリアルズインフォマティクス」でも注目されています。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物の機械学習による探索方法の発明です。
これを、
「公開時の原文クレーム」→「審査官の評価」→「登録時の原文クレーム」
で整理してみると・・・
「公開時の原文クレーム」
公開時の請求項1では、機械学習による材料探索の構成が示されていました。
↓
「審査官の評価」
これに対して、審査官はAIを利用した材料探索は「既知」と評価しました。
↓
「登録時の原文クレーム」
登録時は、原請求項2などに記載された技術的な特徴に加え、拒絶理由がなかった原請求項4の「LogP」を請求項1へ取り込み特許化されました。LogPは、明細書【0035】で「熱硬化性エポキシ樹脂組成物の疎水性または親水性の程度を示す指標値」と説明されています。
これを、A4一枚で表したチャートがこちらです。

このように、公開時クレームと登録時クレームのBefore/Afterを対比し、
それをつなぐ審査官の評価を見ることで、
「このレベルでは特許にならない」
「どこまで技術を掘り下げれば特許になるのか」
が浮かび上がってきませんか?
先行特許事例は「どのように発明を権利へ育てているか」を学ぶ教材になります。
また、具体的な技術テーマで、企業別に特許化事例を束ねることで、企業ごとの権利化の考え方や特徴が読み取れるようになるのではないでしょうか。
重要なのは「特許化・特許力」
ネオテクノロジーは、
『実例に学ぶR&D技術者のための特許化事例集』をシリーズ発刊します。
新技術の創出で競争を勝ち抜くためには、
優れた研究成果を確実に権利化する「特許化・特許力」が欠かせません。
R&D技術者に重要なのは、特許制度を詳しく覚えることだけではありません。
重要なのは、
「自分の研究成果のどこに、発明としての特徴があるのか」
「どのように発明を表現すれば、その技術的価値が伝わり、権利として認められるのか」
という視点を持つことです。
公開クレームから登録クレームへの変化、
そしてその間をつなぐ審査官の評価を知ることは、
次の発明・次の出願に生かせる実践的な学びになります。
ぜひ、本書の実例を通じて、
自分の研究成果を「どう発明として捉え、どう権利につなげるか」
を考えるヒントとしてお役立てください。





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