自動運転技術が進化しています。自動運転技術が実用化されれば、安全性の向上や事故率の低下、運送効率の向上、新たな交通サービスなどが期待されます。その一方で、自動運転技術は新しい技術であるため、法制度の整備も必要です。例えば、自動運転車を運転して事故を起こした場合、誰が責任を負うのでしょうか?今回取り上げたのは、自動運転車に(または自動運転車によって)発生した損傷に対して、自動運転車の運転者・保険会社・自動車メーカーの責任を確認するために、スマートコントラクトによって自動運転車の制御状態を確認する発明です(US20210042841、STATE FARM MUTUAL AUTOMOBILE INSURANCE COMPANY)。
スマートコントラクトによる自動運転車の制御状態の確認
自動運転の技術が進化すれば、自動車保険にも影響が出ることが想定されます。人間のドライバが車両を制御しているのか、それとも、車両が自律的に動作しているのかを記録するために、信頼できる、不変の、分散された、共有可能な、安全なシステムが必要です。この発明では、自動運転車の操作を管理するスマートコントラクトによって、自動運転車がどのような制御状態になっていたか確認します。複数の自動運転車から複数のトランザクションを受信し、トランザクションは、トリガー条件またはスマートコントラクトに関連する決定条件を示します。
実際のスマートコントラクトのフロー図がFig.2Bに示されています。
ブロック252:
ドライバが手動で自動運転車を操作しており、責任を負わない可能性があります。例えば、ドライバが自動運転車に電源を入れ、目的地に向かって運転を開始した場合です。自動運転車に関連付けられた電子デバイスは、分散型台帳のブロック245cのトランザクションを生成します。
制御0:自動運転車が手動で操作されていることを示すフラグ
責任0:自動運転車に責任がないことを示すフラグ
ブロック254:
ドライバが自動運転車に関連する自律制御機能に従事している可能性があります。例えば、ドライバが自動運転車に目的地まで自動的に運転するように指示した場合です。それに応じて、自動運転車に関連付けられた電子デバイスは、分散型台帳のブロック245dのトランザクションを生成します。
制御1:自動運転車が自律的に運転されていることを示すフラグ
責任0:自動運転車に責任がないことを示すフラグ
ブロック256:
ドライバが自動運転車に関連する自律制御機能を解除した可能性があります。例えば、ドライバは、手動制御(例えば、ステアリングホイール、ブレーキペダルなど)と相互作用することによって手動制御を再開することができます。それに応じて、自動運転車に関連付けられた電子デバイスは、分散型台帳のブロック245eのトランザクションを生成します。
制御0:自動運転車が手動で操作されていることを示すフラグ
責任0:自動運転車に責任がないことを示すフラグ
ブロック258:
自律型車両は責任を負っている可能性があります。例えば、自動運転車が衝突した場合などで自動運転車のエアバッグ展開の検出や、衝撃センサーからの出力検出、自動運転車のセンサーの誤動作または他の異常状態の検出などを含みます。自動運転車に関連付けられた電子デバイスは、分散型台帳のブロック245fのトランザクションを生成します。
制御0:自動運転車が手動で操作されていることを示すフラグ
責任1:自動運転車が実際に責任を負っていることを示すフラグ
ブロック260:
スマートコントラクトの実施に関連するアクションを実行することができます。スマートコントラクト230は、ブロック258で生成されたトランザクションを分析し、アクションを決定することができる。一例として、衝突で発生した損害に対する責任をドライバに割り当てる保険金請求を生成します。
Fig.3には、複数のスマートコントラクトに関連付けられた分散型台帳が示されています。複数の自動運転車305、施行サーバ315、専用検証エンティティ335、スマートコントラクトデータベース330です。複数の自動運転車内の自動運転車は、電子デバイス(例えば、自動運転車)に関連付けることができます。
イノベーションと法制度
技術革新が進むにつれて、最先端技術に規制が追いつかないという事態が生じています。例えば、人工知能と倫理の問題、遺伝子治療と医療規制の問題など、技術的に最先端であっても、従来の規制枠組みでは捉えられずリスクが大きすぎて実現できないなど、規制によってイノベーションが阻まれてしまうというものです。規制改革によるイノベーション促進の重要性が指摘されており、イノベーションを阻む制度や規制の見直しが不可欠となっています。社会や人間の安全を確保するために規制は不可欠なものですが、規制の見直しやルール作りのプロセスにもイノベーションが必要ではないでしょうか。
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