【ネオテクNEWS】負の熱膨張率材料はどこまで進んだか― 単斜晶系CuZnVPO酸化物複合材と特許情報が示す研究進化 ―
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今回の注目トピックス:負の熱膨張率材料
今回は「負の熱膨張率材料」単斜晶系CuZnVPO酸化物複合材に注目しました。
今週2月16日に公開された特開2026-026111(東海国立大学機構)です。
発明者たちの10ppmから100ppmへの研究と挑戦のヒストリーです。
材料研究において「熱膨張制御」は古くて新しいテーマです。半導体実装、光学デバイス、精密機構部品、異種材料接合――。温度変化によるわずかな寸法変化が、性能や信頼性を左右します。
最新特許情報から見る、負の熱膨張材料の最前線
特開2026-026111(WO2022/114004の分割)は、東海国立大学機構による出願です。
これは2018年出願の特開2019-210198(名古屋大学、ただし特許7076134は東海国立大学機構が権利者)を源流とする研究の発展形です。
対象は、単斜晶系CuZnVPO酸化物複合材です。
注目すべきは、負の熱膨張係数の向上です。約10ppmレベルから、100ppmレベルへ。
この数値の変化は、単なる改良ではありません。結晶構造制御、組成最適化、複合化設計――研究者たちの仮説検証と試行錯誤の積み重ねが、特許情報から読み取れます。
ゼロ膨張から「負」へ ― 応用研究の広がり
ゼロ膨張率合金材料は、ガラスと金属接合のkovarなどが知られています。
しかし、現在は、より積極的に膨張を「打ち消す」設計へと進化しています。
負熱膨張材料の応用研究としては、
例えば:
圧電アクチュエータ(BiFeO₃–PbTiO₃系セラミック)
白色LED用Sc–Mo系材料
光導波路材料
異種材料接合の応力補償部材
といった分野で活発に取組まれています。単体材料としての性能追求にとどまらず、複合材料設計や機能統合材料としての展開が鍵となっています。
特許情報が示す「次の研究テーマ」
特許情報には市場ニーズを反映した具体技術が表れます。
どの用途で、どんな課題を想定しているのか
どの温度域をターゲットにしているのか
こうした観点から読み解くことで、競合動向だけでなく「未踏領域」も見えてきます。
負の熱膨張率材料は、精密実装や異種材料接合における熱歪み制御を目的とした材料として研究が進められており、材料の複合設計という観点から、さまざまなデバイス分野で検討されています。研究開発において、特許情報は強力な羅針盤となります。
パテントガイドブック新刊発刊
ネオテクノロジーでは、最新特許情報から技術の全体像を俯瞰したパテントガイドブック
『負の熱膨張率材料と応用研究』
を2026年2月末に発刊予定です。現在、鋭意編集中です。
本書では、
材料系統別整理
応用分野別マッピング
を通じて、研究開発の現場で課題解決に取り組む技術者に役立つ情報を提供します。
また、今後は、海外編の詳細資料もご用意しています。
負の熱膨張率材料は、単なる特殊材料ではありません。「膨張する」という常識を設計パラダイムとして逆転させる材料です。材料技術の特徴とその応用用途の広がりを特許情報からキャッチし、研究開発の促進に活かしませんか。
参考:
特開2026-026111(国立大学法人東海国立大学機構)複合材料及び部品
【課題】負熱膨張を示す新たな材料を用いて、温度変化に対する体積変化が抑制された複合材料及び部品を実現する。
【解決手段】複合材料は、一般式(1)Cu2-xRxV2-yPyO7(RはMg、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Snから選ばれる少なくとも1種の元素を含み、0<x<2、0<y<2を満たす。)で表される酸化物を含み、100~500Kの温度範囲において負熱膨張を示す負熱膨張材料と、正の線膨張係数を有する正熱膨張材料と、を含む。







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