top of page

【モータ用インバータ】電解コンデンサレスインバータ/放電抵抗を熱源として有効利用など

更新日:2021年1月19日

ネオテクノロジーは、モータ用インバータに関する国内特許情報を継続的にウォッチングしています。毎月、その中から技術者に役立つ注目発明をお届けします。



電解コンデンサレスインバータの構成とした場合にも、電源高調波規制を効果的に満足しつつ、スイッチング損失を低減することができる

電解コンデンサレスの電源やインバータは、装置全体の寿命や小型化の観点で注目すべき技術です。しかし、その実用化には制御安定性確保とリップル電流による高調波対策を行う必要がありました。

本発明は、その課題に対応すべく長岡技術大学とサンデンホールディング株式会社が産学共同で発明されたものです。注目すべきは、制御内部にモデル予測部と電圧ベクトル選択部を設けた点にあります。従来のモデル予測や制御パラメータの選定の多くは、外部でシミュレーションし、適切なパラメータを選定して組み込む方法でしたが、その機能を制御内部で行うようにしたことはすばらしいです。

今後の制御技術の発展につながる考え方と思います。さらに高度な目的や課題に対しても制御内部でシミュレーションができ最適制御の選択が可能になれば、将来的にはAI制御につながる技術になると考えます。

(特開2020-120483、サンデンホールディングス株式会社,国立大学法人長岡技術科学大学)



通常は使われない放電抵抗を熱源として有効に用いて車内の温度を調整する

通常は使われない放電抵抗を熱源として有効に用いて車内の温度を調整する熱利用システムを提供するものです。インバータの電力ライン間に挿入された平滑コンデンサを放電する放電抵抗は、車両が衝突した際に速やかに平滑コンデンサのエネルギーを放電させるためのものです。したがって通常は使用していません。本発明は、その放電抵抗を熱源として車内温度調整に流用するというものです。この発想手法は、他のすべての装置に応用がきくと思います。装置を構成する部品や回路を切り出して本来の目的以外の目的にも流用する。こうした多目的要素が増えると利用効率が高まり小型化やコストダウンにもつながります。また、本発明は2つの目的流用ですが、さらに3つ、4つの目的を流用することが出来ればいろんな発明が生まれてくると考えます。(特開2020-124086、トヨタ自動車株式会社)



センサを用いずに制御対象の状態を適切に推定する

耐故障性の対応や小型化、コスト低減の観点でロボット等のモータのセンサレス化が求められています。この発明は、センサに代わり、モータに直列にインダクタンスを挿入しその電圧からモータの状態推定を行う方法です。非常に簡単でシンプルな方法なので応用範囲が広く考えられます。特に化学物質に汚染された環境や放射線汚染の危険がある劣悪な環境下で威力を発揮する発明と考えます。(特許-6742719、学校法人慶應義塾)

 

マンスリー特許情報「モータ用インバータ」

ネオテクノロジーはモータ用インバータに関する国内特許情報を継続ウォッチングしています。毎月、その中から技術者に役立つ注目発明をお届けします。

パテントガイドブック「モータ用インバータシリーズ」

技術革新に向けR&D技術者がテーマ選定をすることをねらいとしたレポートです。直近の特許情報から技術者の視点で最低限必要な約100件を厳選し着眼点ごとに整理しました。将来の技術的方向を探る道標として最適なガイドです。詳細は下記になります。


《ネオテクノロジーの電源専門技術スタッフYNプロフィール》

パワーエレクトロニクスを担当。電源機器メーカ開発部長、イギリス研究所駐在、JEITA電源委員などの経験を活かし電源特許情報定期監視、技術監修として活躍。



Comments


bottom of page