ネオテクノロジーは、特許情報に表れる社会の変化とそれに伴う技術的課題、その課題を解決する技術的着眼点を、技術者が抽出し、特許レポートとして皆様に発信しています。本日は、現在進行中のレポート企画をご案内します。
現代社会では、ロボットはますます身近な存在になってきました。ロボットの役割は、従来の産業用ロボットが担っていた「人の労働力の代替」から、人間の能力を拡張する「無人システム」や「人との共生」に広がりつつあります。なかでも、限られた場所や環境(工場)から出て、現実環境で働くロボット「フィールドロボット」が期待されています。フィールドロボットは、農作業、インフラ保守・点検、建設現場、災害対応、物流配送、ドローンなど、多岐にわたる活躍が期待されています。
フィールドロボットの動力源はバッテリーであるため、バッテリーの残量管理や劣化予測など、遠隔操作機械であるフィールドロボットならではの電力管理の特徴や課題があるに違いありません。そこで、特許情報から、フィールドロボットと電力供給に関する様々な取り組みを見てみました。
(自由に動きたい)ワイヤレスで給電
ロボットアームに給電線が絡まってしまっては、フィールドロボットの自由な移動が制限されてしまいます。この発明は、ロボットアームに給電線を配することなくエンドエフェクタへの給電を行う発明です。
特開2021-41486(DMG森精機)図5
(いつでもどこでも充電)給電ロボットが、目標のバッテリの位置まで移動して充電
農地など広範囲な作業対象エリアで、複数の作業ロボットを同時に作業を行わせる場合に、ロボットによってバッテリの充電タイミングが異なる場合があります。同時に運用されている複数の作業ロボットのうち、どの作業ロボットに対して、どのタイミングで充電を行うかを適切に判断して、給電ロボットが作業ロボットに充電を行う発明です。
特開2021-48665(エムケー技研)
(大型化したくない)モジュール化
屋外で使用されることの多いフィールドロボットは、装置の大型化は避けたいところです。様々なパワーの組み合わせに応じて異なる形態の基板を複数用意するのではなく、パワーモジュールを配置可能なスペースを複数設けることで、装置の小型化を実現します。
特開2020-55088(川崎重工業)図3
ネオテクノロジーでは、最近5年間のフィールドロボットの電力供給システムに関する特許情報を調査して、全体像を俯瞰するダイナミックマップ「フィールドロボットの電力供給システム」を制作進行中です。2021年6月末の発刊を予定しています。どうぞご期待ください!
Comments