テラヘルツ波は光と電波の境界領域の電磁波で、永く未開の技術領域とも呼ばれていました。そのため、多くのバンドが未使用です。大気の減衰の少ないバンドを通信に利用することで、無線通信に使えるバンド幅が飛躍的に拡大することが期待されています。例えば300GHz帯では44GHzものバンド幅が将来の無線通信用に確保されています。過去の大容量化のトレンドを外挿すると、2030年過ぎにはセルラーもWi-Fiも1Tbpsの伝送容量に達する予測されており、テラヘルツ波の通信利用技術の開発が急がれています。テラヘルツ波の特長を活かし、かつ欠点を克服する技術に関する特許が、無線通信システムから、通信機器、それを構成する部品技術に渡って活発に出願されています。本ガイドブックでは、これらの技術に関する最新の特許を網羅的に調査し、代表的な特許を抽出して分類し、俯瞰することを目的としています。
本ガイドブックでは、テラヘルツ波通信に関するシステムから部品に至るまでの幅広い技術を調査の対象としています。なお、テラヘルツ波の定義としては、概ね100GHz~10THzの周波数領域を含むものとしています。例えば、請求項に1GHz~300GHzの周波数といった記載があるような特許情報は対象としています。ただし、1GHz~100GHzといったような上限が100GHzのものは対象外としています。テラヘルツ波通信システムや通信機器、それを構成するアンテナやテラヘルツ波発生および検出デバイスを含みます。また、テラヘルツ波の直進性の強さという無線通信にとっての欠点を緩和するため、反射や透過方向およびビーム径を制御する部品も対象としています。さらに、光を用いたテラヘルツ波の発生や伝送技術にも注目しています。
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