次世代を拓く魅力ある技術として「超分子Supramolecule」に着目しています。調査対象とした技術は、「超分子」の一つ、環状分子と直鎖状分子の弱い結合が作り出す「環動高分子ポリロタキサン」です。
ポリロタキサンは、複数(2以上)の環状分子と、当該複数の環状分子を串刺し状にする直鎖状分子と、当該直鎖状分子の末端に配置され上記複数の環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有する複合体です。高分子材料を互いに結合した架橋点が自由に動くことを「環動」と言います。また、直鎖状分子の側鎖に環状構造を設けたものや、環状分子に架橋基を設けて、ネットワーク構造にしたものなども開発されています。
ポリロタキサンは、直鎖状高分子が架橋点を自由に通り抜けることができるので、高分子の張力が均等になるような平衡位置に架橋点が移動し、張力を分散し、均一に保つことができます。このように架橋点の分子が滑車のように振舞うことを滑車効果と呼ばれます。
滑車効果を有する高分子材料は、大きく伸縮する、つぶしても元に戻る、ひっぱっても切れないなどの新たな力学特性を有することができます。
直鎖状高分子を環動構造にすることにより、従来から知られている高分子材料に新たな機能を持たせることができます。直鎖状分子に串刺しされた環状分子は配置エントロピーの弾性が復元力を生み、繊維、塗料のみならず、環動高分子材料はゴム弾性や光学タッチパネルやコンタクトレンズなど医療材料のほか、電池材料などの電池産業、自動車産業、航空機産業などの種々の分野においても、形状回復やソフトマテリアルとしての新たな機能性高分子の用途展開が期待されています。
環状分子と直鎖状分子の環動高分子
¥198,000価格
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