■本書について
軽くて耐久性があり、あらゆる形状に成型可能なプラスチック材料を便利に使用していますが、近年環境汚染やカーボンニュートラルの課題が問題となっています。環境問題としては、耐久性があることから小さな破片となって海に広がるマイクロプラスチックの影響が懸念されています。当然のことながら、燃やせば発生する二酸化炭素による地球温暖化の問題、原料となる石油資源の問題などもあります。これらは、発生する二酸化炭素量と吸収、使用されて減少する二酸化炭素量とをバランスさせるカーボンニュートラル問題とも関連しています。そこで、プラスチック材料として一度使用されたものを再利用する、リサイクルが課題となっています。一般に廃プラスチックの再生として以下の3つが知られています。
1) マテリアルリサイクル :原材料としてそのまま再生する
2) ケミカルリサイクル: 化学的処理によりモノマー等の原料として利用する
3) サーマルリサイクル :固形燃料としたり、燃焼時の熱を発電等に利用する
ここでは、3)の廃プラスチックを燃焼させて熱を利用する場合、また発生する二酸化炭素を別途利用する場合等は除きます。二酸化炭素の利用については藻類利用、触媒利用等の弊社の別途調査報告書を参考にしてください。本調査では主に1)と2)の場合と3)の燃焼であっても新たな材料を提案している場合は採用とします。
また、1)から3)により再生された材料を用いて、新たなプラスチック製品を作成する方法、製品等に関する出願も採用とします。
最も多いPETボトル等のポリエステル樹脂等を粉砕等によりそのまま新たな製品へ成型等利用する場合、解重合によりモノマーとする技術、ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂をリサイクルする技術、廃材が熱硬化性樹脂である場合、架橋されたゴム状材料に関するリサイクル技術、また炭素繊維等の繊維材料で補強された樹脂材料から多くは炭素繊維を回収、再利用する技術、多くの提案がなされている、高吸水性高分子を含む衛生用品のリサイクルに関する技術、さらには具体的な材料が不明などその他に分類された材料のリサイクル技術などを取り上げます。
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