メタマテリアルは自然界に存在しない人工的材料であり、負の屈折率(誘電率と透磁率が共に負)を持つ特徴を持っています。電磁波の波長より十分小さな構造ユニットを並べるメタマテリアルの研究開発は発展途上にありますが、自然界に存在しない負の屈折率を実現しうるマテリアルとして注目され、すでに5G/6Gの無線通信やイメージングなどの領域で用途展開の技術競争が特許の上で始まっています。音響波の領域で電磁波と同様な機能を有する音響メタマテリアルも注目されています。負の密度と負の弾性率を有する材料構造により、音響レンズや吸音材を軽く小さく設計製造することが可能になります。
メタマテリアルの用途は、通信やイメージング域だけではありません。メタマテリアルのユニークな構造を活かした、様々な応用が検討されているはずです。そこで、ネオテクロジーは、最先端の研究開発が表れる米国特許情報からメタマテリアルの用途を抽出し、全体像を俯瞰するパテントガイドブック『US特許から探る メタマテリアル用途の最前線』を発刊します。本日は、その中から注目発明をご紹介します。
頭蓋骨が邪魔にならない医療技術に
脳の中を超音波画像で診断したり、超音波を照射して治療したりする医学における需要は多くあります。しかし、周りを囲む頭蓋骨と脳の音響インピーダンスは大きく異なるため、超音波を照射するには、頭蓋骨に穴を開けるなどの手術が必要となり、患者の負担が大きいという問題がありました。
この発明(US20210137487、GEORGIA TECH)は、特殊な音響メタマテリアル(非エルミート相補型メタマテリアル)を用いると、あたかも頭蓋骨がないかのように超音波を脳まで透過あるいは検出することができるという画期的な技術です。ただし、具体的な構造・製造法に関する言及はありません。
《US20210137487/GEORGIA TECH 》
低消費電力な光電子ニューラルネットワーク
デープラーニングに代表されるニューラルネットワークは、自動運転や言語翻訳あるいは音声認識などAI技術の核として様々なところに用いられようとしています。しかし、GPUなどの電子技術だけで実現しようとすると、消費電力が大きくなってしまいます。一方で、光技術はニューラルネットワークで用いられる並列処理を得意とし、消費電力を下げられる可能性を秘めています。この発明は(US20210174186、NEUROPHOS)光メタマテリアルとアレイ光学素子を用いて光ニューラルネットワークを構築しようとする発明です。
《US20210174186、NEUROPHOS》
US特許から探る メタマテリアル用途の最前線
ネオテクロジーは、最先端の研究開発が表れる米国特許情報からメタマテリアルの用途を抽出し、全体像を俯瞰するパテントガイドブック『US特許から探る メタマテリアル用途の最前線』を発刊します。
このパテントガイドブックでは、最先端の研究開発が表れる米国特許から、メタマテリアルの最新動向を応用用途と技術要素の二つの軸で分類し俯瞰しています。このように、特許情報は技術マーケティング情報としても活用できます。新たな用途探索の情報源として、本パテントガイドブックをお役立てください。
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