注目しておきたい最先端技術テーマがパテントガイドブックです。特許情報から代表例を選び、技術と特許のつながりを探ります。最新刊のパテントガイドブックの一冊が、「回路基板の放熱実装Part2」です。放熱技術とシミュレーションの一例を紹介します
最近、SiCやGaNなどのワイドバンドギャップWBG高温半導体が普及しています。高発熱パワーデバイスの熱設計だけでなく、熱伝導性樹脂や冷媒冷却など、最先端の熱対策技術が技術革新の最前線です。その中で、発熱部品と回路基板の係わりに注目したのが「回路基板の放熱技術Part2」です
このガイドブックでは攻めの着眼点を七つ取り上げていますが、そのうちの一つが熱流路の設計。この熱流路アングルのキーポイントは熱を逃がすルートの設計。熱流設計の最新の具体例は、高密度化やヒートスポット対策に不可欠な見どころです。
そのヒントになる一例が熱シミュレーションの利用です。メタル基板の回路パターンに電子部品のリードを金属ペーストで実装する。この接触面積に目をつけた発明です。パターンとペースト、ペーストとリードの熱接触、ペーストの熱伝導率の関係を見計らい、熱伝導率と上下に挟む接触面積との兼ね合いをシミュレーションして2つのグラフをプロット、式に表せる関係を導いています。
<特開2020-155728、三菱マテリアル株式会社 図4、図5>
ところで、物質の熱伝導率は、Cu金属で400W/mK、絶縁樹脂が10W/mK程度で、数ケタの違いしかありません。しかも、熱伝導と熱伝達、対流と輻射などが複雑に絡み合って熱が漏れ出していきます。ちょうどスパコンでエアロゾルの飛散を見るように、基板に実装された発熱部品の熱の流れは簡単ではないのでしょう。多くが構造図面で表現される放熱技術の発明の中にあって、技術と特許をつなぐ新たなヒントの一例として、注目しておきたい発明の一つです。
このガイドブックでは、熱流路のアングルのほかにも冷媒を用いる冷却技術など、攻めの着眼点を取り上げています。実際の技術と、発明の技術とでは、知恵の出し方が少し異なります。最新の特許情報から具体例で研究開発と特許出願とのつながりを探るガイドブックとして、ぜひ、ご利用をご検討ください。
パテントガイドブック【回路基板をつかう最新の放熱実装Part2】
主として電子機器の熱対策技術、特に、回路基板を用いた発熱電子部品の放熱実装技術に関する特許情報を俯瞰的に見て、最近の技術の動向をザックリと把握すると同時に、代表的な特許情報を見ることによって、この技術にかかわる企業が何かの具体的な目的をもって特許出願している事例を実際に知ることを目的にした特許レポートです。
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